研究内容・成果

量子知能デバイス (研究内容)

揺らぎを利用する新機能デバイス

「ナノ人工物メトリクス」は、ばらつくナノ構造を識別子として個体認証する新しいセキュリティ技術です。これは半導体不足で急増する半導体チップ偽造に対抗します。課題は、ナノ構造の違いを電子顕微鏡でしか判別できないことでした。本研究室では、ナノ構造を電気的に識別する方法を発明し、横国大, AIST, DNP等と実証実験を進めています。
「確率共鳴」と呼ばれる、雑音により微弱信号への応答が高まる生物機能に関する研究をしています。本研究室では最近、この現象の謎がガウス雑音自体にあることを世界で初めて発見しました。今、本現象を利用した超高感度微弱信号センシングの研究を準備しています。
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生物に学んだ新しい人工知能

「電子アメーバ」とよぶ、従来計算機が苦手とする問題を高速に解く独自のコンピュータを開発しました。単細胞生物なのに効率的に餌を探す生物粘菌の動きを電子的に再現することで探索能力を回路上に創発させたシステムです。現在、扱える問題の規模拡大のため、ベンチャー企業Amoeba Energy社と計算機のスケールアップの研究を進めています。
「物理リザバー計算」は、CMOS集積回路をもちいることなく、特性にゆがみや遅延があるデバイスをネットワーク化すると機械学習ができる、特異的な人工知能フレームワークです。電子アメーバと物理リザバーを融合し、筋電義手への意思伝達や自律ロボットへ応用することを目指しています。
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硬い半導体〜窒化ガリウム(GaN)のウェットエッチング

青色LEDの材料として知られているGaNは、半導体の中でも「硬い」材料で、デバイスプロセスの1つであるエッチング加工には、物理的なイオン衝突を利用するなど高いエネルギーが必要です。そのため、エッチング後の表面に加工損傷が残りやすく、デバイス性能を劣化させる要因の1つとなっています。
この問題を解決するため、我々は、光電気化学反応を利用した新しいウェットエッチング法を開発しました。化学薬品に紫外光を照射して薬品の反応力を高め、材料表面からゆっくりと溶かします。物理的な損傷を与えないエッチング手法で、GaNに対しても有効です。GaNを中心とした窒化物半導体に対して、光電気化学反応の基礎的理解を深めるとともに、企業と共同でエッチング装置の製品化を進めています。
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GaNトランジスタの開発

GaNは、絶縁破壊電界が高く電子の飽和速度が大きいことから、大電力・高周波トランジスタの基盤材料としても有望で、我が国でも、カーボンニュートラル社会実現の鍵となるデバイスとして、GaNトランジスタの研究開発が進められています。
当研究室では、光電気化学エッチングを使ったゲートリセス加工により、GaNトランジスタのしきい値電圧を精密に制御することに成功しました。これは、5G通信システムの低消費電力化につながる技術で、現在は、より効率の向上が期待される混晶材料(InAlGaN)への応用に取り組んでいます。また、産学協働プロジェクトでは、pGaNの低損傷エッチングと特性評価を担当し、高耐圧縦型GaNパワートランジスタの実現を目指しています。
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