2016年RCIQEセミナーのご案内(2)(2016年1月21日(木) 16:30-18:00)
センター特別講義(3)
講師:客員教授 比留間健之 先生
1月21日(木) 16:30 〜 18:00
量子集積センター304室(セミナー室)
「半導体細線における結晶構造変化・細線構造によりヘテロ接合形成の格子歪限界を緩和する」
I. 半導体細線における結晶構造の変化
半導体細線(ナノワイヤ)の成長では、太さが1um以下になるとGaAsやInAsのような閃亜鉛鉱型(Zincblende)の結晶構造において双晶(Twin)が発生しやすくなる。また、ナノワイヤの形状は(111)結晶軸方向の周りに六角形の形状を発現しやすい。これは、ウルツ鉱型の結晶構造を反映したものとみられる。講義では、III-V半導体において、閃亜鉛鉱型からウルツ鉱型への結晶構造変化の過程における形状変化の観察例、結晶構造の変化のしやすさを熱力学的に解析した例を紹介する。
II. 細線構造によりヘテロ接合形成の格子歪限界を緩和する
半導体ナノワイヤによるヘテロ接合形成では、格子定数差を有するヘテロ接合界面で、格子歪の許容範囲がプレーナ型の膜成長における場合よりも拡大する。このことは、ナノワイヤを利用することで半導体格子歪ヘテロ接合のバンドエンジニアリングが可能となることを示唆する。講義では、ヘテロ接合ナノワイヤにおける格子歪エネルギーと転位発生に関わるエネルギーとの釣り合い条件をもとに格子定数差の許容範囲を解析した報告について解説し、また、ナノワイヤを利用することによる利点を議論する。